Memories

ふと ↑ を久しぶりに聞いて、亡くなったおじいちゃんのことを思い出している。Fantom が出てから 1年後におじいちゃんは亡くなった。“道” は亡くなる直前のお見舞いを毎日していた頃から何度も聞いていた思い出深い曲である。 おじいちゃんが亡くなる直前は何も考えたくなくて、夜に音楽を聴きながら無限に散歩していたことを思い出す。歩きながら思い出を振り返り、散歩しながらずっと泣いていた。(すれ違った人からすれば恐怖だったかもしれない…w) 社会人になって、おじいちゃんからは定期的に電話を貰っていた。直接会って話す機会は、社会人になってからは稀な状況だった。 月並みだが、今思うと直接会う機会を設けたり、一緒に温泉旅行とか行って色々恩返ししたかったな。 大切な思い出や当時の思いを書き残しておくことで、おじいちゃんに対する想いの供養に繋がりそうだなと思ったので、つらつらと雑に文章で残してみる。 自分は幼い頃から兄弟の中でも特に祖父に可愛がられていた。幼い頃はよく仕事のトラックに乗せてもらって、道中のコンビニで必ず欲しいものを買ってもらっていた。今でも毎度コーヒー牛乳を買ってもらってたことを思い出す。 おじいちゃんの家に行くと毎回必ずジャガイモのお味噌汁を作ってくれた。しょっぱい味付けが凄く好きだった。そのことをおじいちゃんに伝えたら、家に行くたびに作ってくれるようになったのだ。 小学生の頃はゲームやおもちゃはなんでも買ってくれた。手を繋ぎながら地元のシータというゲームショップに通った思い出や、当時の店内の詳細な様子など今でも思い出せる。おじいちゃんに何かを頼んで断られた記憶は一切ない。 ゲームを買ってもらった後はおじいちゃんの家で夢中になって遊んでいた記憶がある。五時を超えても遊んでいると親からおじいちゃんに電話があった。まだ遊び足りない時は親に泊まって行くとよく伝えて、実際に泊まっていた。 親は何故かおじいちゃんのことが気に入らない様子だった。悪態を吐いたり、キツく当たることも多かった。親とおじいちゃんが一緒の場にいる時は物凄く辛かった記憶がある。いたたまれない気持ちが抑えられず心を無にしていた。 こんな優しいおじいちゃんに対して、強く攻撃する言動が親から出るのを見るのは耐え難く、よく自分の部屋に避難したことを覚えている。その後知ったのだが、実はおじいちゃんは僕以外には厳しく当たるエピソードが多々あった。 しかし、僕にとっては優しいおじいちゃんだったので、よく親に不快だから攻撃的な言動は止めてくれと言った覚えがある。その時は「あなたは特別おじいちゃんから大切にされてるもんね、ごめんね」と言われたことも覚えている。 高校生で引きこもり気味になった時は、よく「コンビニに行くけど何か買ってくるものはあるか？」と聞いてくれた。「何もないよ、大丈夫」と言っても、おにぎりやサンドイッチを必ず買ってきてくれていたことを思い出す。 今思うと色々気にかけてくれていたんだろうなと思う。学校に行く時は家を出る前に「お金はあるか？」とよく聞かれた。あるよと言っても何かあった時のためにと、五千円もくれていた。お金は使わずにずっと貯めていた。 大学生になってアルバイトを始めてからも上記は変わらなかった。その後地元が大嫌いだった僕は社会人になった直後に引越し先を決め、一人暮らしを始める。当時そのことを切り出した時は親が家を出るのを止める中、おじいちゃんは何も言わず普段通り接してくれていた。 今は子供が二人いる身だから分かるが、気にかけている子供が一人暮らしを始めると言い出したら、止めるまでは行かなくても何か言っておきたい事の一つや二つくらいありそうだ。しかし、おじいちゃんからは何も聞かなかった。 おじいちゃんは定常的に具合が悪くなっても、稀に実家に帰ることがあると、必ず自分の部屋から出てきて僕と会話をしてくれた。その度に親はおじいちゃんに対して「大丈夫か？」と聞いていた。 親に聞いたところ、関節が痛く歩くのも相当辛い状況なのに愚痴一つ吐かず部屋から出てくるのは、僕が実家に戻ってきた時だけとのことだった。嬉しかったが、同時におじいちゃんに辛い思いをさせている罪悪感があった。 時間も経ち、そんな事が何度かある中、おじいちゃんが仕事中に倒れたという連絡が来た。脳出血とのことで、命に危険があるのですぐに来て欲しいと言われ、仕事を抜けて病院にタクシーで向かったことを覚えている。 到着してから病室で対面した時の衝撃は今でも覚えている。いつも優しく接してくれていて普段と変わらなかったおじいちゃんが、良くテレビで見る危篤な状態の様子になっているのを見て、悲しみよりも虚無が襲ってきた。 病室に到着してからは家族が、一番関係の深い僕が一対一でおじいちゃんと同じ空間に居られるようにと、病室から出てくれた。 しばらくおじいちゃんはずっと目を閉じていたのだが、一瞬だけ目を開けてくれた。その時に目があったのだが、自分と目が合うと目を見開いて手をこちらに差し伸ばしてくれた。 本当はその時にこちらからも手を伸ばすべきだったのだが、自分は情けないことに目を逸らして目を瞑ってしまった。今思うとおじいちゃんの死を認めたくなかったのと、涙を見せたくないという思いでそうしてしまったのだと思う。 その後泣くのが落ち着きおじいちゃんを見ると、辛そうな顔で寝ていた。どう言った感情だったのかは分からないが、自分の取った行動に絶望してしまったのだとしたら本当に申し訳ないことをしてしまったなと思った。 そこからはとても早かった。毎日面会時間目一杯通っていたが、五日後には病院の先生から緊急で呼び出されて、最後の時間と宣告された。親は仕方が無いねと、穏やかにその様子を見守っていた。 その瞬間が来たときはもちろん泣いた、が、病室で最初に対面した時よりは泣かなかった。恐らく毎日面会して帰宅後泣いてたことに加えて、ある程度準備が出来てたからだろう。物心ついてから初めて身近に死を感じた瞬間だった。 その後、法要を済ませた後は、すぐに仕事に復帰した。何故ならおじいちゃんだったら、ずっと自分のことで悲しまずに自分の人生を生きて欲しいと言うだろうなと思ったからだ。今までの接し方から、なんとなくそう感じた。 できればおじいちゃんには結婚したり、子供が出来るまで生きてて欲しかったな。今まであまり良い姿が見せられなかったので、重要なライフイベントを親よりも見てて欲しかった。ただそれは自分の祈りに近いエゴであると感じる。 自分はおじいちゃんから多大な影響を受けている。人に優しくあろうとしたり、自分がされて嫌なことは絶対にしないとかは、その典型である。 そう言った特性は子供達にも受け継いでいきたいなと思うが、おじいちゃんは「そんなことしなくて良いよ」とか言いそうだな。